苦しみとは何か
不安や心配事、ストレスでなんとなく生きづらい。
このような悩みを神経科学と脳科学の観点から解決に導く一冊です。
本書を読むと、なぜ生きづらさを感じるのか、苦しみとは何かが分かります。
そして、苦しみと距離を置く方法が分かります。
本書は2021年にサイエンスライター鈴木祐さんが出版された著書です。
10万本の科学論文を読破した著者によって書かれた本書は、原始仏教から生物学など幅広い知見をもとに苦しみの足かせを外すための一冊です。
苦しみから解放されたい
この本は数年前に私が、どこか生きづらさを感じていて手に取った一冊です。
この社会ってストレスフルだし、楽しいことはあるけど少しでも嫌なことがあると気分は落ち込んでしまう。
そんな中で生きて何がしたいのか、こんなことを考えていました。
本書を読むと、ネガティブになりやすいのは自分だけではなく全ての人間に共通することだと分かり、それだけでも救われました。
人生に悶々としていた私が気がつけば、少しずつ前を向けるようになりました。
苦しみ = 痛み × 抵抗
苦しみは上のような式で表せます。
この式を見ると、痛みもしくは抵抗を減らせば苦しみは小さくなることが分かります。
ここで、思わぬ不幸は避けられないので、痛みを減らすのは困難です。
従って、痛みに対する抵抗をやめれば苦しみを小さくできます。
抵抗をやめるとは、苦しみを受け入れると言うことです。
例えば、自分が何か失敗をしたとして、「失敗したから自分は駄目なやつだ」と考えるのは抵抗している状態です。
逆に、目を背けたり、誰かを攻めたりせず、「今回失敗しただけ」と考えるのが受け入れると言うことです。
わたしは物語製造機
私が本書で面白いと感じたのは、自己はアーミーナイフのような色々な機能のパッケージであるという考えです。
そして、自己は様々な物語を作っているということです。
先ほどの失敗を犯したときの例を使うと、失敗は事実であり、「自分は駄目なやつだ」は脳内で作り出された物語です。
この自己の感覚が苦しみの元凶であると述べられており、自己を消せば苦しみから解放されます。
自己を消すこと、すなわち失敗を自分事としてとらえないようにすることが大切だと感じました。
本書は、1章で自己が苦しむメカニズムが分かります。
2章で自己が物語で構成されている事実が分かります。
3章で心身に安心感を与えて自己を消す土台を作ることができます。
4章で脳内に埋め込まれた物語を引きずり出します。
そして5章で現実を認めて苦しみを迎え入れる技術を養います。
このように段階を踏んで苦しみの足かせを外すことができます。
こんな人におすすめ!
本書は禅の用語など聞き慣れない言葉も多く少し読むのが難しかったです。
しかし、ストーリーはわかりやすく、苦しみを消すメソッドがたくさん紹介されていて面白かったです。
本書は、苦しみとは何か知りたい人、苦しみを消したい人におすすめの一冊です。
是非読んで、本書に紹介されている手法を試してみてください。